紡ぎ歌はどんな作曲家が作曲したのでしょうか。まず、シューベルト作曲の「糸を紡ぐグレートヒェン」が挙げられます。これは、ゲーテの「ファウスト」に曲をつけたもので、ドイツリート(歌曲)の誕生といわれています。この歌詞は、愛するファウストと会えなくなったマルガレーテ(グレートヒェン)が悲嘆にくれる様子が彼女の立場から描写されています。
次にブルグミュラー18の練習曲の「紡ぎ歌」でしょうか。右手の3連符の16分音符が糸車の回転を表しています。エルメンライヒの「紡ぎ歌」もそうですね。左の5度の軽快な伴奏が明るく美しいメロディを支えています。これは、退屈で根気のいる糸を紡ぐ仕事を楽しそうに歌いながら、気持ちを紛らしている様子がうかがえませんか。
又、メンデルスゾーンの無言歌の「紡ぎ歌」も有名ですね。2小節の前奏は糸の回転を表しています。ツェルニー30番の14曲目も題名はありませんが、紡ぎ歌のような回転を意図している曲ですね。当時の時代背景をひも解いて、これらの曲を歌ったり弾いたりすると,とても味わいがあって楽しいと思うのですが、如何でしょうか。