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音楽コラム Column

精霊

四元素をご存知ですか。四元素とは、この世界の物質は、火、空気、水、土の元素から構成されるという概念です。日本では四大元素とよばれ、古代ギリシャ・ローマから19世紀頃までのヨーロッパで支持されました。16世紀になると、医師であり錬金術師でもあるパラケルスが「四大元素それぞれ精霊が宿っている」と唱えました。水の精はオンディーヌ、風の精はシルフ、火の精はサラマンダー、土の精はノームと呼ばれました。

ここで、精霊のピアノ曲を探してみましょう。ラヴェルの「夜のガスパール」の第1曲目「オンディーヌ(水の精)」があります。伴奏であり冒頭部の32分音符の小波はまさにオンディーヌが水と戯れているようでとても美しい作品です。

また、ドビュッシーの前奏曲第2巻の8曲目で「オンディーヌ」を作曲しています。これは、ラッカムの挿絵に霊感を得て書かれたもので、多様に変化する細かな音の連動による幻想的でスケルツォ的な要素の多い曲です。

ブルグミュラー18の練習曲15番の「空気の精」は風の精(シルフ)が登場します。シルフは空気の羽で雲を作るといわれています。私はこの作品では、44小節目のカンタービレのところだと思うのですが如何でしょうか。かわいい女の子の精霊が、そよそよと吹く風の中で、自由に飛び回っている様子があらわれていますね。

精霊は空想の生き物ですが、自然と隣り合わせで結びついているため、魔法使いのように怖くて不気味なイメージと違って、私たちの生活に身近なものとしてとらえられています。

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